匿名で告発文章を書くときの注意点

個人・民間組織・民間企業に対しての告発文書には決まりがありません。

テンプレートもないので「このように記述してください」
「この欄を埋めてください」なんて必須事項もないのです。

極論として、たった一文でも告発文書となりえますし有効です。

ですが、たった一言事実を書いただけで済ますのはそっけなく、
読み手へ「本気度」が伝わりません。
※ここで指す「本気度」とは、その物事にどれだけ
執着しているかどうかの気持ちを指す指標です。

しかし、長文が良いとは限らないのが告発文章。
また、長文になればなるだけボロができやすいのが通例です。

そこで、今回は一言では済まない事柄に対して、
告発を検討しているあなたに最低限の注意事項を教えます。

補足として、告発文書の様式についても触れていますので
参考になさってください。

目次

読み手の立場を考慮する

外部からの告発・内部告発かかわらず、まず考えるのは
「内部告発の手紙を受け取った側の立場」です。

組織であると内部告発文書を受け取ってから事実確認までの時間に間があります。

個人に対して告発の手紙を送っても、組織上のいざこざ・派閥対立・体面上の
理由から揉み消すことだってあり得ます。

「最初から告発の手紙などなかった」ことにすれば誰も苦しみません。
セクハラ・パワハラ・不正に苦しんでいる人は別として。

まずは、読み手(告発手紙を読む人物)の立場を念頭に入れてください。
それから告発文章を書きはじめます。

そうすることで、誰に・どのような情報を与えると効果的であるかを
思い至ることでしょう。

なお、告発を検討している方は知らず知らずに気持ちが前のめり状態になりがちです。

「私の話を聞いて聞いて聞いて」と、自分が伝えたい情報だけを
書いてしまいます。

急ぐと、要領を得ない文章となりますので、
はやる気持ちをおさえてから告発文章の作成にとりかかってください。

5W1Hは基本

何かを人に伝えるとき、報告する際には5W1Hは基本ですよね。
告発文章もおなじです。

事実確認が取れる内容であるか

告発文書(手紙)に記載されている内容が客観的に見て
事実であると断定できるか。

それとも、事実確認ができる内容が書かれているかどうかが重要です。

受け取った側がすくない労力で事実確認ができる情報を与えてください。

組織(営利企業)として動くのですから、どのようなときにも
費用対効果の論理が働きます。

事実確認のための調査が容易ではない。
困難であると、判断されると相手はなかなか動いてくれません。

たとえば、同僚(以下、同僚A)が外回り営業中にさぼっているとします。

同僚Aがさぼるる場所は担当エリア外の公園です。

そこで、内部告発しようと文書をしたため会社へ送った手紙の
内容はたった一文。

「同僚Aが外回り営業中に公園でさぼっています」

これでは調査するにしても情報がすくないですよね。

見当違いで、同僚Aの担当エリア内にある公園を張り込むかもしれません。
同僚Aを尾行するにしても、できるならサボりやすい曜日や
時間帯を知っておきたい。

必要だったのは、同僚Aのサボりを目撃した場所・日時・公園の名称(住所)などです。
これだけでも調査のしやすさに差がでます。

大所帯の会社であれば、所属部署名・氏名(姓・名)は必須です。
同姓同名の人物との混同を避けるためです。

所属部門・課などが判明していないのであれば、
どのような仕事を担当しているのかを記します。

詳細な情報があると読み手側も真剣に事にあたってくれる可能性が高まります。

たった一文、それも不明瞭で情報不足の告発文はまともに取り合ってくれません。

ただし、取り合ってくれる可能性の高いケースはあります。

それは以前から目をつけていた相手(対象)への告発文書
※またはメール だった場合のみです。

なにかしらの容疑がかかっていた相手への告発だったケースですね。
※「後押し告発」

上層部・会社(組織)がノーマークの人物を告発するのであれば
できるだけ詳細な情報を記載してください。

告発先の事実確認(調査)を助ける情報を記載すると、お考えください。

根拠を提示するのも説得力・信憑性が増します。

しかし、根拠を書いてしまうと自身(差出人・告発文書を作成した人物)の
存在を特定されやすくなります。

そのため、根拠記載のさじ加減が重要となります。

事実確認がとれる情報を記載しているのであれば、
根拠をまったく書かないという選択もありです。

望みを明記する

告発の手紙・メールを送る方は、告発自体が目的ではありません。
告発をすることにより、変化を求めているはずです。
事態の好転・進展・改善など。

そのためには告発先に行動してもらわないといけません。

人はして欲しいことがらを明確に具体的に伝えないと動いてくれない生き物です。
人の集合体である「会社(組織)」であれば動きはさらに鈍重です。

だからこそ、明確にあなたの望みを明記しないといけません。

(例)
「~さんの行動調査をおねがいします」

「~部長に厳重注意してください」

「もう二度とセクハラ被害者を生み出さないためにも~係長の部署異動を希望します」

「不正しやすい環境ですので、Aさんの配置換えをお願いいたします」

など。

意外と忘れがちですのでご注意ください。

ただ、あまりにも実現不可能な望みですと、「何をばかげたことを」と
取り合ってくれないでしょう。

あくまでも常識的に実現可能な希望を書いてください。

親展扱いで送付する※手紙の場合

個人に対しての告発。それも名誉を傷つけるおそれのある情報を
書いてある手紙はかならず親展扱いにしてください。

封筒表に「親展」と朱書きするか、「親展印」を押すだけです。
※親展印は文房具店で売っています。

組織宛(会社宛)にして、誰が開封しても良い状態にすると、
あえて名誉を傷つけるために仕組んだとおもわれても仕方がありません。

郵便配達員の方でさえ確認できてしまう、葉書(ハガキ)での
告発なんてもってのほかです。

日付は記入するかどうかについて

告発文書に日付は必須ではありません。
※告訴状(こくそじょう)は提出年月日必須

ですが、日付を記入しておくといつごろに作成されたものであるかを
確認しやすいメリットがあります。

告発先が企業である場合、その企業の上層部内で文書がまわし読み、
あるいはコピーされて配布されるでしょう。

複数人の目にとどまり、複数人規模での会議も開かれるかもしれません。
そのときに進行が滞りなくおこなえるように、作成日時を明記するのです。

手紙を受け取った人物や、封筒を保管している人物は
その告発文書がいつ届いたものかを把握しています。

しかし、それ以外の人物は知りえません。

情報共有の面からも、告発文書内に作成日または提出日を記載するのが良いでしょう。

内部告発時には自分(書き手)の癖に注意

内部告発の場合、言い回しや文章作成時の癖
(句読点が多い・記号を多様・三点リーダーの誤用)などで
差出人(容疑者)を絞り込まれてしまう恐れがあります。

とくに、あなた(告発人)の直属の上司に送付するのであれば、
いっそう慎重になる必要があります。

なぜなら、上司はあなたが書いた文章を見慣れているためです。

あなたが頻繁に使用する表現・誤用・言い回しを把握している可能性が高いです。

対策

外部の協力者が居る場合、告発したい事項を伝えて書いてもらうか、
知られたくない箇所(企業名・氏名)を伏せてライターに頼む方法も検討してください。

記書きについて

正式なビジネス文書ではないので、記書きは必須ではりません。

強調したい箇所(文字・フォント)の大きさを変える・太字にしても
大丈夫です。

告発文書だからといって、ビジネス文書のように堅い文章過ぎても
読みづらいだけです。

告発文書の体裁について

白用紙。サイズはビジネス文書で使用されやすいA4用紙が無難です。
フォントは明朝系。特に理由がない限り、黒字で横書きにしてください。

NG行為

メールによる告発希望する相談者さまのなかには、
「社内の人物全員に一斉送信をしたい」とおっしゃられる方がたま~に見受けられます。
TOではなくCCで送信したいと。
これはNG行為ですね。お控えください。
個人に対する告発内容である場合、名誉毀損にあたる可能性が高いです。

身分をどこまで開示するか

内部告発の場合、自身の身分を開示することで信憑性を与えられます。

ただし、証拠はなにもありません。

相手からすれば「騙り・身分を偽っている」と思われるのがオチです。

ですので、その仕事・作業に従事していないと知りえない情報や、
その組織内だけしか使用していない単語を織り交ぜて告発してみても
良いでしょう。

関連ワード:隠語符牒(ふちょう、符丁、符帳)

なお、自分が内部の人間だと知らせるために、
社員章の氏名・顔写真部分を隠して、告発文書に添えるのは
危険ですのでお控えください。

役職・部署・入社年度別に微妙にテンプレートが異なっている場合、
会社側から特定される恐れがあります。

特定されなくとも網が狭まる(絞り込める)でしょう。

あえてぼかす

正確な情報を持っていても、一部の情報しか与えない。
または情報をぼかして与える手法もあります。

基本的に、情報を与えるほどこちらの匿名性が薄れてきます。

「この作業マニュアルの不備は作成にかかわった数名しか知りえないはず」
「このAエリアには数名の人物しか立ち入れないはず。
それなのにAエリアについて詳しく書かれている」など、
情報から差出人の立場を絞り込めるためです。

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かといって、あまりにも不鮮明で要領を得ない情報を
与えても信憑性が薄くなりがちです。
何を伝えたいのかさえ、ぼやけてきます。

情報の取捨選択がむずかしい。

だからこそ、匿名で告発文を書こうとする方は一種のジレンマに陥るのですね。

まとめ

  • 告発文章を書く前に読み手の立場を考える
  • 5W1Hを明確に記載する
  • 事実確認(調査)を助ける情報を記載する
  • 記書きにするかどうかはお好みで
  • どのような行動をとって欲しいのかを明確に記載する
  • 告発を受け止めないとどれだけ不利益を被るかを説明する
  • 告発の手紙は親展扱いで差し出す
  • メールによる告発で一斉送信(CC・BCC)はしない

「読み手」=「内部告発文書の受取人」

以上。

追記

あまりにも基本的なのでわすれていました。
「手書き」はお控えください。

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