退職代行は会社を辞めるにあたって非常に即効性がある方法で、何より精神的な負担が少なくすみます。
しかし、退職にかかわる全てのことを業者がしてくれるわけではありません
退職代行の利用の流れ、利用にあたって気がかりなこと、そして業者がしてくれることとしてくれないことなど活用のポイントについてを説明していきます。
目次
退職代行の流れ
退職代行を利用する前に、実際に手続きが終了するまでの具体的な流れを把握しておきましょう。
1.申し込みと情報共有
最初に無料相談後、退職代行の意志が決まれば申し込みになります。
この時点では利用料金が発生せず無料です。
LINEやメールで対応してくれる業者もあるので、電話連絡よりもそちらのほうが気軽に相談できる場合は該当業者を探すとよいでしょう。
また、この後の流れや入金方法の説明もあるので、今後のためにメモをとっておきましょう。
2.入金処理
入金の方法は業者によってそれぞれですが、銀行振込かクレジットカードでの入金が一般的です。
代行会社によっては、どちらか片方にしか対応していないこともあるので、事前に確認しましょう。
入金が済むと退職への具体的な打ち合わせが始まり、場合によってはこの時点で会社に行く必要がなくなります。
3.打ち合わせ
打ち合わせは綿密に行われますが、業者によってその内容はさまざまです。
退職代行SARABAの場合
こちらに一つずつ回答していくことになります。
これ以外の細かいことにつきましてはその後に質問すれば担当者が回答していただけます。
4.実行
希望された時間帯にスタッフが実行します。
利用者は待つだけで問題ないので、ゆっくり体を休めつつ報告を待ちましょう。
5.結果の報告
実行の結果どうなったかという報告が行われます。
退職の日程が決まれば、代行会社からのアナウンスされる指示に従って退職届や返却物の郵送を行ってください。
6.事後処理とアフターフォロー
ここまでは業者任せで問題ないのですが、以降は自分でやらなくてはならない処理がいくつかあります。保険証や退職届の問題、借りていた制服など備品の返却を行っていきましょう。
このときも出社する必要はありません。全てのやりとりは郵送で完了致します。
退職代行を利用する際に気になること
退職代行を利用される方のほとんどは、初めての利用になるでしょう。
初回ゆえに気がかりに思うお金のこと、いつから仕事にいかなくていいのかなどを説明していきます。
いつからお金が発生するのか
初回の連絡~相談は無料です。
相談の段階でこちらの状況を説明し、入金方法などを確認します。
入金が済んだ後から退職に向けた具体的な相談などが始まるので、まだ利用について悩んでいるという方にも気軽な相談が可能です。
いつから仕事にいかなくていいのか
希望であれば最短、入金した翌日から会社に行く必要がなくなるというのが大きなメリットです。
仕事に追いつめられている人を救う特効薬になるでしょう。
上司に怒られるのではないか
退職代行を利用したことで、上司に怒られることはありません。なぜなら、もう会う必要も話す必要もなくなるからです。
退職の申請をできない人の多くは、「誰かに怒られるのでは?」「急に仕事を辞めるなんて反社会的なのでは?」と自分を責めています。そして実際、退職する人を「無責任だ」となじる人もいるでしょう。
退職代行のスタッフが電話連絡などをしてくれるため、何か言われる心配をせずに安心して仕事を辞められます。
利用料金の相場は約3万円
2018年は、正社員であれば50000円、アルバイトであれば30000円程度が相場でしたが、2019年現在、相場は3万円になります。
中にはそれよりも安い代行会社もありますが、異様に安い金額を提示している退職代行業者には注意しましょう。
基礎の料金は安いものの、電話する度にプラス5000円など追加料金がふくらんで高額になってしまうということもあります。
相談の段階で、必ず追加料金についての確認を行いましょう。
貸出品の返却、私物や書類受け取り
制服などの貸出品は返却し、会社に残してきた私物は受け取るか、処分してもらいましょう。
私物の受け取りについては、退職代行のスタッフのほうから会社に電話してもらい、宅急便などで家に送るよう伝えてもらうと良いでしょう。精神的な負担が少なく済みます。
健康保険の手続き
必ず返却しなくてはならないもの、それが保険証です。これを返し忘れると返さなければ国民健康保険の加入手続きができませんので速やかに返却しましょう。
手続きは三種類あります。
【1】任意継続
会社に勤めていた人が退職したとき、加入していた保険を最長で2年継続できます。それを任意継続といいます。
退職したときの給料が高かったり、扶養者が多かったりすると、扶養の概念がない国民健康保険より任意継続のほうが保険料が安くなる場合があります。
しかし、一度加入してしまうと変更が難しく、後から家族の扶養に入りたかったと考え直しても加入できないなどのトラブルもあるので、注意しましょう。
※任意継続は20日以内の手続きが必要です。
【2】切り替え手続き(次の職場が決まっている場合)
退職する際に保険証を返したあとは、転職先にマイナンバーを提出し、新しい健康保険証を発行してもらいます。
扶養家族が居る場合は原則、家族の分のマイナンバーも必要です。
発行には1~3週間かかることもあるので、その間の医療費は全額自己負担となりますが後から負担分以外の医療費は払い戻してもらえます。
再就職までの期間が開いていれば任意継続や家族の扶養に入る事もあり、もしそれが短期だとしても高額な医療費を支払う予定がある場合は検討するべきでしょう。
【3】親の扶養に入る
年収が130万円未満の場合は一部の例外を除いて親の扶養に入れます。
130万円未満でも扶養に入れないケースもあります。被扶養者の収入は、親の収入に対して半分未満でないといけません。扶養に入る事を考えている場合は、親の収入も確認しておきましょう。
仕送りで生計を立てていれば、別居をしていても扶養に入ることが可能です。
ちなみに、任意継続の手続きは退職の翌日から20日以内に行う必要があるため、退職してから考えていると間に合わないこともあるでしょう。
退職をすると心に決めたら、自分自身の場合は任意継続と国民健康保険を比べてどちらが得なのか、親の扶養に入ったほうがよいのか、よく考えておきましょう。
税金の手続き
退職すると今までのように税金を自動で引き落としてもらえなくなります。
次の就職先が決まっていれば、源泉徴収票を新しい会社に提出しすることで手続きは終了します。
希望をすれば、退職代行サービスが源泉徴収票や離職票が必要である旨の要望を伝えてくれますが、書面に残した方が確実なので依頼者からも要望の紙を送られることをおすすめします。
退職代行の利用の安全性
本当に辞められるのか、退職代行を利用したら逆に訴えられるのではないか、という心配があるかもしれません。
退職代行では退職のプロが対応してくれるので自分で辞めるよりも簡単に退職できます。
トラブルを避けながら辞められる
正統に手続きを踏まずに急に会社を辞めれば、本人の経歴に傷がつきます。
しかし、退職代行を利用すれば、正しい手順で会社を辞められるので、経歴に傷がつきません。
つまり、退職代行の業務は法的な管理のもとに行われているため、安全性が高く、スムーズに辞めることができるのです。
訴えを起こすのは勤め先の不利であり損
急に退職することで、会社側に訴えられるのでは?という不安もあるかも知れません。
民法第627条では
“当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。“
とされています。
本来、二週間の期間が必要である退職なのに何故即日退職できるケースがあるのでしょうか。
それは会社側から見れば期間が伸びることによって社会保険料などの福利厚生の支払いを回避したいという場合が多く、その結果、即日退職が認められるケースがあるのです。
急な退職によって企業側に何らかの損害が発生した場合、企業側は損害賠償を請求されるのかもと思われたかもしれませんがまず訴訟沙汰まで発生は致しません。
企業側が裁判を起こすには時間と費用を失うことになるからです。
仮にそのデメリットを背負って起こした裁判でも、企業側に全く落ち度が無いとは考えられません。退職代行に依頼されるような企業である以上、労働面、環境面が何かしらのブラックであるはずで、脛に傷を持つ企業が裁判を起こせば負ける未来しかないでしょう。
そして、実際に退職代行を利用して訴えられたというケースも存在しません。
「損害倍書を請求する」と言われても、それは効果の無い脅しとして受け流しましょう。
法的なトラブルがある時には注意が必要
残業代の未払いやパワハラ、セクハラなど、法的な問題がある上で職場を辞めるときには、普通の退職代行を利用してはいけません。
弁護士免許のない人に金銭のやりとりや法的行為の処理を任せると、「非弁行為」といって犯罪になってしまいます。
法的な問題を抱えているときには、弁護士のいる退職代行、もしくは弁護士を呼んでくれる退職代行に任せましょう。
弁護士の退職代行でおすすめは汐留パートナーズ法律事務所です。
相談は無料ですし、弁護士としては格安で退職代行をしていただけます。
まとめ
退職代行の利用の流れを紹介してきました。
・相談や情報共有までは無料
・希望であれば入金が済んだ日から出社する必要がない
・退職届や返却物の郵送は自分で行う
・退職後の保険についてあらかじめ考えておく
・顧問の指導のもと行う代行会社であれば安全性が高い
入金してから退職の承認が取れるまでは自分自身で行動することはなく、退職代行に任せているだけで問題ありません。
会社の人と顔を合わせる必要はないですし、疑問点などあれば代行会社にフォローしてもらえます。
退職代行の利用は、精神的な負担を大きく軽減してくれます。限界まで我慢して働き続ける必要はなく、もうつらい会社に顔を出さなくてもいいのです。
すっぱりと退職して、次のステップに進みましょう。