目次
給与の受け取り代行サービスの落とし穴
最近は提供していないサービスについても
お問い合わせをいただく機会が多くなってまいりました。
「本人確認代行」「在籍確認電話代行」※1 は昔からたまにありましたが、
いまでは給与の受け取り代行とも呼べるお問い合わせが増えてきております。
※1 融資・クレジットカードに絡む依頼
給与の受け取り代行を頼む方の立場は決まっています。
勤務先から無断・逃げるように辞めた(バックレ)方です。
給与の受け取り代行とは?
自分で給与を受け取りに会社に行きたくない方が
第三者を代理人に立てて、受け取りを代行してもらうサービスです。
ただし、成功の可能性は低く、失敗が前提とされている場合が多い。
給与の強制手渡し
給与を受け取る前にバックレてしまったので、
損をしてしまっているという状態ですね。
「あれー?口座に振り込まれてないよ?」と悩んでいる。
会社からの届いたメールを見ると、
「給与はちゃんと支払う。手渡しするから会社においで」とある。
バックレた側としては恐怖でしょう。
手渡しの際に説教をされる可能性が高いのですから。
そこで、当便利屋にお問い合わせされるのですね。
私としては協力したい。けれどできません。
と、いうのも法的にどうしようもないから。
会社側は「本人」にしか渡すことはできません。
家族が代理で受け取りに来ても拒否することができます。
委任状でどうにかできないか?
委任状があれば法的な手続きでも代理人に権限の委任が可能です。
この委任を使い、第三者に給与の受け取りを代行するように
考える方もおります。
しかし、本人でなければ処理できないケースもあるのです。
給与の受け取りもこれに該当します。
法的にどうなのよ?
「委任状を渡せば給与の受け取りも代行してくれるのか?
それは有効なのか?」
以下のウェブサイトではこの問いにQ&A形式で解説されています。
質問者の立場は会社側です。辞める側ではありません。
「急に会社を辞めた人物の代理人が給与を受け取りに来た、
この自称代理人に給与を渡しても良いのか?」
この問いは以下になります。
本人以外の人への給料の支払いは労働基準法第24条に違反しますので無効となります。
委任状があったとしても同様です。
本人以外への給料の支払いは一部の例外を除いて無効となりますので、
今回受け取りに来た人への支払いは行わない方が無難です。もっと簡単に言うと「他の人が給料を受け取る委任状は無効」ということです。
(中略)
そのため、今回の質問のケースでは、社員の親族と名乗る人が委任状を持ってきたとしても支払うべきではないとういことになります。
引用URL:https://www.sr-consultant.net/kyuryo_honnin_igai.html
引用サイト:給料を本人以外の人が取りに来たら渡しても大丈夫?委任状がある場合は?
| 市川社会保険労務士事務所
法的説明
労基法24条は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、全額を支払わなければならない」
として、賃金の直接払いの原則を定めています。この規定は、労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものですから、
労働者の親権者その他の法定代理人に支払うことや、
労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、本条違反になります。また、労働者が第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、
代理等の法律行為は無効となります。
退職した社員の給与を、代理で取りに来た家族に預けても問題はないですか?(人事労務Q&A)|エン人事のミカタ by エンジャパン
・本人以外の第三者には支払わなくても良い
・労働者が給与の受け取りの権限を他人に与えることは法的に無効
と、いうことでした。
今回のケースでは委任状を書けたとしても効力が生まれません。
会社側としても、本人に渡さないと不利益を被る可能性があります。
委任状を持ってきたとしてもそれは他人です。
しっかりと確認できた状態で支払うのが当たり前です。
でも、この「バックレたら給与が振り込まれていなかった」問題には
会社側にも責任があるといえばあるのかなと思います。
意地の悪い会社では、口座情報をすでに伝えているのに
わざと振り込まず「手渡し」を強制します。
手渡しの際に文句の1つでも言ってやろうというのも会社側にもあるのでしょう。
文句1つで辞めれらるのであれば儲けものと考えらたら楽かもしれません。
しかし、多くの方がこの問題に悩んでいます。
無断退職ではないのに、このような状況に陥ってしまう方もいるでしょう。
例外もあるということですね。
詳細については以下のウェブサイトを参照してください。
相談例が掲載されています。
ウェブサイトページ:給与受け取りの使者について | 行政書士.COM
URL:https://gyousei-navi.com/question/disp_question/id/526/
失敗前提で請ける便利屋に注意
法的にギリギリのラインまで請け負う便利屋では
「給与受け取り代行」をサービスとして提供しています。
実情を知っている便利屋であればまず引き受けません。
成功率が低く、揉める可能性が高い依頼は避けるのが普通です。
もし、引き受ける便利屋がいたらそれは成功報酬制ではないでしょう。
前払い制です。失敗し、給与を受け取ることができなくても返金はありません。
請け負う便利屋側としては失敗しても成功してもどちらでも良いのです。
だからこそ、失敗する可能性が高い依頼であるのに快く引き受けるのです。
このような事前説明もなしにかたちだけ依頼を実行して、
料金だけいただく便利屋・業者が存在するのは確かです。
成功率を掲げている便利屋であっても、「依頼ごとの成功率」は
掲げていないので注意が必要です。
和解策-ひとつの方法として
口座情報を会社側(勤務先)に教えていたのに、
無断退職(バックレ)した月だけ手渡しを強制された。
このようなときには謝罪文(詫び状)を送ってみるのもひとつの方法です。
やむを得ない事情を丁寧に説明すれば何かしらの進展があるかもしれません。
相手も鬼ではないのですから。
ご相談・見積もり依頼は「お問い合わせフォーム」から受け付けております。
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